市役所の職員が市役所で「喫煙後45分間エレベーターの利用禁止」されることが「人権侵害」や「差別」「弾圧」になることの不思議。

奈良県生駒市が2018年4月1日より、昼休みを除く勤務時間内の職員の喫煙を禁止するとともに、喫煙後45分間のエレベーターの使用を禁止するそうです。

これについて、今回も早速様々な意見が出ています。

私も私の家族もまったく喫煙しません。そして受動喫煙、そして飲食店等での「禁煙」「分煙」「喫煙」の問題については以前からSNS等では若干キツい書き方をしてきました。ただ、こうした話題が出てくるたびに必ずといって良いほど目にする言葉に、私はいつも違和感を覚えています。

他人の健康に害を与える嗜好品を「与える可能性がある状況に限って」禁止することは「人権侵害」なのか。

禁煙マーク

私はこの世から煙草を排除したいわけではありません。
「非喫煙者や妊婦、子どもがいる密閉された空間では吸って欲しくない」と思っているだけです。

毎回こうした話題が出るたびに必ず出てくるのが喫煙の権利を他者が奪うことは「喫煙者の人権侵害だ」「差別だ」「弾圧だ」といった意見です。更に激しいものになると「ファシズムだ」「共産主義だ」といった表現まで出てきます。そして、これらの意見は決して一部の喫煙者からのものではなく、「私は煙草は吸わないけれど」という方からも出てくる意見です。それだけ最近の「受動喫煙」に関する話題は、多くの人にとって何か言わずにはいられない問題なのだと思います(私もこうして書いている訳ですか)。

ここで冷静に今回のニュースを眺めてみたいのですが、私の中ではこれが何故「人権侵害」「差別」「弾圧」「共産主義」で「生きづらい世の中」へと繋がっていくのか、いまいちよく分かりません。少し引用しながら見てみたいと思います。

新たな対策は、市の全職員が対象で、喫煙後も45分間は体内から有害物質が出続けるという産業医科大学の大和浩教授の研究結果に基づき、この間のエレベーターの利用が禁止となります。また、勤務中は昼休みを除いて禁煙とするなどの内容です。罰則はなく、職員一人ひとりの良識に委ねるということです。

今回の対象は、市民ではなく、市庁舎で働く「全職員」が対象です。また、その内容は「勤務中は昼休みを除いて禁煙とする」などの内容であり、更に「罰則はなく、職員一人ひとりの良識に委ねる」というものです。禁止しているのかしていないのか分からないくらいの緩さです。

煙草は確かに嗜好品かもしれませんが、最近取り沙汰されている受動喫煙の話を出すまでもなく、以前から喫煙者だけでなく周りの人の健康にも悪影響を与えることは、喫煙される方も否定はされないと思います。私は喫煙自体を禁止したいとは思っていません。ただ、不特定多数の人が集まる密閉された(避けることが出来ない)場所においては控えて欲しい、と思っているだけです。ですから、誰にも迷惑をかけない時と場所であれば、思う存分に吸って楽しんで欲しいと思っています。

それなら「昼休み」なら構わないではないか、と言われる方もいるかもしれませんが、そこで受動喫煙の問題が出てきます。吸われている方はあまり気にされていないかもしれませんが、煙草を吸われた後、また喫煙室から出た後というのは息だけでなく、髪も、衣服もしばらくは強い臭いが残ります。これ、幾ら消臭スプレー等を吹きかけても落ちませんし、洗っても完全に落ちることがない。臭いがそれだけしぶとく付着したまま残る、ということは、単に臭いだけでなく有害物質も一度付着したらなかなか落ちない、ということでもあります。

ここで考えてみて欲しいのです。「昼休み」であろうと、更に言えば「通勤時間帯」であろうと、吸ってしまえばしばらくは有害物質と臭いを付着したまま、周りに排出し続けます。ということは、昼休み終了ギリギリまで喫煙していた方は、勤務時間に入っても(今回の研究結果に基づくならば)45分間は有害物質と臭いによる健康への悪影響を他人にも及ぼす、ということです。

市職員の仕事って何でしょうか?

市職員以外に誰とも接することがない仕事であれば、職場環境の問題です。けれど、市役所は全市民と接する可能性のある仕事です。店員さんや、一般の企業の営業の方と同様に「相手のある」仕事です。

「個人の嗜好」であり「個人の権利」であるのであれば、その害も本来であれば「個人で始末する」ものだと思っています。まして勤務時間中です。さらに言えば、今回は対象は「市役所の全職員」です。喫煙によって不特定多数の市民の健康に僅かであったとしても悪影響を与える可能性があるのであれば、それが勤務中であれば喫煙後その影響が消えるまでは一切の接触を禁じても仕方がないのかな、と思っています。

これは市職員だから、というのではなく、一般の企業でも同様です。

そう考えると今回多くの方が「やりすぎ」と言われている「喫煙後45分間はエレベーターの利用を禁止」、そこまで酷い弾圧なのでしょうか。一般の企業で、一般のお店でこれを行ったら、同様に「人権侵害」と言われるのでしょうか。

もし同様に「個人の権利」であり「嗜好」である飲酒で考えてみたらどうでしょうか?

今回の問題、臭いだけが問題だ、と考えると煙草だけに限らないものになってくるので、また話は別に、またややこしくなってくるとは思うのですが、もしこれが病院だったらどうでしょうか?医師や看護師が感染性のウィルス等を保菌していたら、当然「出勤を禁止」しますよね?

それが極端だと思われるのであれば、同じ「個人の権利」であり「個人の嗜好」でもある飲酒で考えてみて下さい。タクシーの運転手に対して「飲酒後の運転を○時間禁止する」と決めたら(むしろこれはタクシーに限らず法律で既に禁止されていますよね?)、それは冒頭で触れたような人権侵害で差別で弾圧で共産主義のファシズムに向かう息苦しい世の中になるのでしょうか。

私がいつも感じる違和感。なぜ多くの人は喫煙に対しては、その害も含めて寛容になれるだけでなく、少しでも声をあげると却って「人権侵害」と言われてしまうのか。

もちろんこうした表現は確かに極端な例かもしれませんが、権利、差別、弾圧、息苦しさ、といった言葉でなかなか進まない受動喫煙の問題について、もう少し冷静に考えられないものか、とこうした話題が出るたびに強く感じています。